丹波栗は大変名高いブランドです。平安時代の文献にも記された歴史あるブランドでもあります。大きくて美味しい栗の代名詞としても使われることもありますが、兵庫県から京都府にかけての旧丹波国で出来た栗のことを、産地名で「丹波栗」と呼びます。
私たち丹波農園は歴史に学びながらも、時代に合わせて革新を続けます。
丹波という地域が京都府と兵庫県にまたがっている上、その2府県から出荷される栗がすべて丹波栗ではありません。したがって、残念ながら「丹波栗」だけの正確な出荷量のデータはありません。ただ、生産・市場関係者によると昭和50年代に比べ、1/15とも1/10とも言われています。
いくら「大きい」「美味しい」と言っても、市場に出回ってみなさまに召し上がっていただかなくてはブランドは維持できません。
生産量を維持するため、私たち丹波農園ではできるだけたくさんの栗を皆様にお届けしたいと考えています。
栗は、まったく手を掛けなくても実を付けます。山に入ると自生している栗の木があり実を付けています。そのような栗を持ち帰って食べても美味しくないでしょう。
手間をかけなければ美味しい栗にはならないのです。実を付ける枝をしっかり太く伸ばすための剪定から始まり、草刈り、虫取り、病気の見回りなど1年中休む暇がありません。
秋には落下後すぐに収穫し、お客様の注文に応じて出荷、もしくは氷蔵します。熟して落ちた実を放っておくと、あっという間に虫が沸き、香りが失われます。ピーク時には1日1トン以上収穫します。ここは大勢の人の力を借りて、速やかに収穫を進めます。
私たちは、農薬、科学肥料を使用しています。つまり、有機農法ではありません。
病気や虫を早めに対策しなければ、広大な農園では一気に広がり大きな被害となります。また何よりも、近隣の農家さまへも迷惑をかけてしまいます。
それでも、虫は人間が目で探して潰すことを第1とし、病気も発見した木だけを消毒することに努めています。
肥料は、下草(雑草)をある程度延ばして、それを刈り込んで緑肥にすることを原則とし、それで足りない分を補うようしています。
足りない肥料分を補うには、成分のしっかりわかる化成肥料が適しています。
少し前までは、栗は燻蒸して虫、虫の卵を殺すのが当たり前でした。
2010年代になると、燻蒸に使う薬品がオゾン層に悪影響を与えるため、使用が認められなくなりました。
代替薬品が研究され、私たちも全国初のモデル農園としてこれを取り入れましたが、2019年、私たちは原則燻蒸は行わないこととしました。
代わりに採用したのが氷蔵による防除です。氷蔵防除は、-1℃の温度で1ヶ月以上栗を保存し、その後出荷するものです。
1ヶ月程度の氷蔵は、虫の防除だけでなく、栗の実の中のショ糖類を劇的に増やす効果もあり、「あま~い栗」をお届けすることができます。
もちろん、出荷段階で虫の痕跡のある物は徹底して取り除いております。
ふかふかな土。土の中にも地面にもさまざまな昆虫がいて、夏には蛍が舞い、カエルも沢山います。「自然の力を大事にしつつ、少しだけ人間が力を貸してあげる」そういう気持ちで栗づくりに取り組んでいます。